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  3.資産家からの税務相談事例

    宅地の評価減を受けるには?

 【相談内容】

  

   私の父は、多くの不動産を保有したまま先日他界してしまいました。

   相続人である私達は、多額の相続税を納めることになると思われます。

   いろいろ調べてみますと、父が保有していた宅地等について、評価額を

   減額させる規定があるようですが、具体的にどんな場合にどれくらい

   減額がなされるのでしょうか?

 

 

 

 【税理士の回答】

 

   遺産の中に居住用や事業用に使われていた宅地等がある場合には、

   その宅地等の評価額の一定割合を減額する特例があります。
   これを「小規模宅地等についての相続税の課税価格の計算の特例」と

   いいます。
   この特例を受けられる人は、相続や遺贈によって宅地等を取得した個

   人です。大阪の税理士事務所 税理士 三輪厚二

 

   

   平成22年4月1日以後の相続・遺贈に係る相続税から、下記のような

   取扱いとなりました。

 

 

   1.適用要件 

    →以下の要件のすべてを満たす必要があります。

   

    @相続開始直前において、被相続人又は被相続人と同一生計の親族

      事業の用又は居住の用に供されていた宅地等であること。

    A建物又は構築物の敷地の用に供されていたものであること。

      つまり、青空駐車場用の土地については、この特例の適用はありません。 

 

    B棚卸資産及びこれに準ずる資産に該当しないものであること。

 

 

   2.限度面積要件と減額割合

 

    @特定事業用等宅地等  ・・・ 400u まで 80%減額

 

    A特定居住用宅地等    ・・・ 240u まで 80%減額

 

    B貸付事業用宅地等    ・・・ 200u まで 50%減額

 

    ただし、@の面積 + Aの面積×5/3 + Bの面積×2 ≦ 400u の算式

    を満たす必要があります。

    なお、この特例の適用を受けることができる宅地等を取得した人が2人以上

    であるときは、その宅地等を取得した人全員の選択についての同意が必要

    です。

 

   

   3.各用語の要件

 

 @ 特定事業用等宅地等の要件
区  分 特例の適用要件
1 被相続人の事業の用に供されていた宅地等
事業継続要件
その宅地等の上で営まれていた被相続人の事業を相続税の申告期限までに承継し、かつ、その申告期限までその事業を営んでいること
保有継続要件
その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
2 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の事業の用に供されていた宅地等
事業継続要件
相続開始の直前から相続税の申告期限まで、その宅地等の上で事業を営んでいること
保有継続要件
その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
3 一定の法人の事業の用に供されていた宅地等
法人役員要件
相続税の申告期限においてその法人の役員(法人税法第2条第15号に規定する役員(清算人を除きます。)をいいます。)であること
保有継続要件
その宅地等を相続税の申告期限まで有していること

 A 特定居住用宅地等の要件

区  分 特例の適用要件
取得者 取得者ごとの要件
1 被相続人の居住の用に供されていた宅地等
被相続人の配偶者
被相続人と同居していた親族
 相続開始の時から相続税の申告期限(その親族が死亡した場合は、その死亡の日)まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を有している人
被相続人と同居していない親族
 被相続人の配偶者又は相続開始の直前において被相続人と同居していた法定相続人(相続の放棄があった場合には、その放棄がなかったものとした場合における相続人)がいない場合において、被相続人の親族で、相続開始前3年以内に日本国内にある自己又は自己の配偶者の所有に係る家屋(相続開始の直前において被相続人の居住の用に供されていた家屋を除きます。)に居住したことがなく、かつ、相続開始の時から相続税の申告期限(その親族が死亡した場合は、その死亡の日)までその宅地等を有している人(相続開始の時に日本国内に住所がなく、かつ、日本国籍を有しない人は除かれます。)
2 被相続人と生計を一にする被相続人の親族の居住の用に供されていた宅地等
被相続人の配偶者
被相続人と生計を一にしていた親族
 相続開始の直前から相続税の申告期限まで、引き続きその家屋に居住し、かつ、その宅地等を有している人

 

   B 貸付事業用宅地等の要件
区  分 特例の適用要件
1 被相続人の不動産貸付業等の用に供されていた宅地等
事業継続要件
その宅地等で営まれていた被相続人の貸付事業を相続税の申告期限までに承継し、かつ、その申告期限までその貸付事業を営んでいること
保有継続要件
その宅地等を相続税の申告期限まで有していること
2 被相続人と生計を一にしていた被相続人の親族の不動産貸付業等の用に供されていた宅地等
事業継続要件
相続開始前から相続税の申告期限まで、その宅地等を自己の貸付事業の用に供していること
保有継続要件
その宅地等を相続税の申告期限まで有していること

 

    

 

 

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