【相談内容】
私は今後独立して、事業を始めようと考えています。
先日、先輩に「青色申告にしておいた方が何かと有利になるよ。」
と教えてもらいました。
具体的に、どんなメリットがあるのですか?また、青色申告を受ける為に
はどのようにすれば良いのですか?
【税理士の回答】
青色申告とは、一定水準の記帳をし、その記帳に基づいて正しい申告をする者
については、所得金額の計算などについて有利な取扱いが受けられる申告制度
です。
なお帳簿及び書類などは、原則として7年間保存することとされていますが、
書類によっては5年間でよいものもあります。
今後事業を始めるとのことですが、個人事業で開始するのか、法人を設立させて
事業を開始するのかで異なることなることになります。
(1)個人事業主として事業を開始する場合 〜所得税法の適用
新たに青色申告の申請をする人は、その年の3月15日までに「青色申告承認
申請書」を納税地の所轄税務署長に提出してください。
なお、その年の1月16日以後に新たに開業した人は、開業の日から2か月以内
に申請すればよいことになっています。
青色申告の特典は次の通りです。
@青色申告特別控除
・・・複式簿記の記帳を行い、その記帳に基づいた貸借対照表を添付して
期限内申告を行うと、所得から最高65万円の控除が認められます。
A青色事業専従者給与
・・・青色申告者と生計を一にしている配偶者やその他の親族のうち、年齢
が15歳以上で、その青色申告者の事業に専ら従事している人に支払っ
た給与は、事前に提出された届出書に記載された金額の範囲内で必要
経費算入が認められます。
B貸倒引当金
・・・事業で生じた売掛金、貸付金などの貸金の貸倒れによる損失の見込額
として、年末における貸金の帳簿価額の合計額の5.5%以下の金額を
貸倒引当金勘定へ繰り入れたときは、その金額を必要経費算入が認め
られます。
C純損失の繰越しと繰戻し
・・・事業所得などが損失(赤字)になり純損失が生じたときには、その損失
額を3年間繰り越して、各年分の所得金額から差し引くことができます。
また、前年も青色申告をしている場合は、純損失の繰越しに代えて、
損失額を繰り戻して前年の所得金額から差し引き、前年分の所得税の
還付を受けることもできます。
(2)法人を設立させて事業を開始する場合 〜法人税法の適用
設立第1期目から青色申告の承認を受けようとする場合の提出期限は、設立の日
以後3か月を経過した日と設立第1期の事業年度終了の日とのうちいずれか早い日
の前日までとなっています。
青色申告の特典で一般的なものは次の通りです。
@青色欠損金の繰越控除
・・・確定申告書を提出した法人の各事業年度開始の日前7年以内に開始
した事業年度で青色申告書を提出した事業年度に生じた欠損金額は、
その各事業年度の所得金額の計算上損金の額に算入されます。
A青色欠損金の繰戻し還付
・・・欠損事業年度に青色申告書である確定申告書を提出し、その欠損金額
をその事業年度開始の日前1年以内に開始したいずれかの事業年度に
繰り戻して法人税額の還付を請求できるという制度です。
B推計課税の禁止
・・・税務署長が青色申告書の所得金額や法人税額を更正する場合には、
これらを推計して更正することはできず、その法人の帳簿書類を調査し、
その調査に基づき誤りがあると認められる場合に限定しています。
C更正の理由の付記
・・・税務署長から更正がなされる場合には、更正通知書にその理由が付記
されることになります。
D各種法人税額の税額控除
・・・青色申告書を提出する法人で一定要件を満たした場合には、取得した
資産の取得価額の数%を税額控除することができます。
E30万円未満の少額減価償却資産の損金算入
・・・青色申告書を提出する中小企業者等が、30万円未満の減価償却資産
を事業の用に供した場合には、その金額の全額を供用年度の損金の
額に算入することができます。
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